実はあのピカソはバルセロナで育ったんですね。
バルセロナという街は戦争で他民族に長期間占拠され、
高い城壁に囲まれどんよりと、ひっそりとその歴史を刻んできました。
その小さな町がスペインという国家の一部として認められ、
城壁を越えて、ある一人の人間によって計画的に街として
デザインされていき、今のバルセロナになりました。
やれサグラダファミリアだのバルサだのの華々しい
バルセロナの裏にはとても長く虐げられた苦しい歴史があったのです。
それゆえにスペイン首都圏に対する対抗心は
かなりのものです。
今のレアル対バルサのいがみ合いというのは
歴史に裏付けられたいわば宿命なんですね。
バルセロナは自然に育っていった中核部と
一人の手によって計画的に創られた周辺部とのコントラストが
非常に印象的です。
その両極端がひとつの場所に存在するこの街では
人工物とは何かを意識せざるを得ません。
その中にそびえたつサグラダファミリアという人工の建築物でありながら
自然界の法則をふんだんに盛り込まれた奇怪な塔。
バルセロナという街はいまやスペインを語る上で
欠かすことのできない存在といえるでしょう。